東京・渋谷で活動するカトリック教会を育成母体としたボーイスカウト。ボーイスカウト渋谷第5団の公式ホームページです。

ローバー隊機関誌


Rover ARA


ローバー隊機関誌「ARA」創刊号

 ローバ隊機関誌「ARA」は、1983年に名編集長・本尾敏也氏の手で創刊され、以来現在に至るまで団内のオピニオン・リーダーの役割を果たしてきました。本尾敏也氏は現在もボーイ隊副長として第一線で活躍中です。



目次



編集長の挨拶

 「ARA」はローバー隊の機関誌です。
 ローバースカウトの目的を遂行する為の一手段であると考えて良いと思います。
(我々の隊には、どうも物事にこだわることに生きがいを感じ、意地を張ることによって面目を保っているおじさんが多い様なので、その代表として発言するとなると、言葉使いにひどく気を使います。)
 スカウト、父兄、団委員にとどまらず、教会、他団と対象は広く持ち、内容としては各方面に対する意見・批判などの論説を中心として、各隊の活動報告、情報、エッセイ、その他を「はいせんす」にまとめて行くつもりです。また、こちらからの一方的な問題提起とならぬ様、読者のみなさまに、意見感想を強要する事もありますので、覚悟をしておいて下さい。

                ’83.12.10  本尾 敏也



今年の10大ニュース


-- いま、渇いた心に届けよう --

 1983年も残すところあとわずかです。今年も色々なことがあったので、忘年会で忘れる前に、ひとつ今年の10大ニュースを選んでおこうではないか!---オウ!ということで、我々ローバー隊員は、ローバー隊10大ニュースを選ぶことになりました。


 で、まずは第10位と9位から。

10位.鈴木隊長、水難事故(救助ではない)

 9月11日、ボーイ隊三浦半島ハイキング下見のことである。一通りコースを歩き終えた鈴木隊長(鈴木隆一BS隊隊長、年令不詳、「隆さん」あるいは「ボクちゃん隊長」と呼ばれる)と本尾ローバー隊員(BS隊リーダー、18歳、ARA編集長)、川口くん(BS隊上班)、松岡くん(同)、の4人は海岸で昼食を食べていた。この日、午前中一時雨がパラついたので、隊長は傘を乾かしていた。と、その傘が風にとばされ海に落ちたのである。「アッアーッ」と言っているうちに傘は波にゆられて、どんどん中に流されて行く。隊長は、大いに狼狽し、しばしの思索と躊躇の後、意を決して着衣のまま海に入っていった。他の3人は、ぼう然とそれをながめていた。

9位.井上富雄一生の不覚、火つけに失敗して泣く?

 10月10日、カブ隊月の輪キャンプの最終日、寝ぼうをしてあわてて火をつけようとした井上さん(井上富雄カブ隊副長、23歳、筆頭ローバー、老練なスカウト)だが、この日にかぎって何故かうまくいかない。何度やりなおしても火はつかず、時間ばかりがすぎて行く。1人のローバー隊員がカマドの近くを通りかかった時、ふりむいた井上さんの目には涙がいっぱいたまっていたという。そして鼻をすすって、「ぼく、まけないもんっ」と言ったとか言わないとか・・・。


-----いかがでしたか?実に心温まる事件ですね。

さあ、どんどん行きましょう。

8位.日本上空にバイダース現わる

 バイダースよりカブスカウトへ。

 あんなに痛くなぐりやがって。おじさんは怒ってるんだぞ。プレアデスなんて素顔はブタじゃないか。言う通りにしないと、またカブの舎営に襲撃しに行くからな。フンだ。もうきらいだい。

7位.幻の送別会、柏木切腹!?

 思い出すたびに背筋が寒くなるあのでき事。私はある夜、楽しく吉田隊長宅で、酒を楽しんでおりました。ところが、周囲の私に対する目がいつの間にか、冷たい視線が変わっていたのです。桜井俊夫さんの「この責任はお前がとれっ」。松本秀夫さんの「きっと、しかがオレの代わりに自刃してくれるヨ」。いったい何がどうしたのか、いまだにわかりません。--柏木--

6位.山田啓造米国留学!

 Keizo Yamada
 Haverford College
 Haverford, Pa.
 19041 U.S.A.  おてがみください。YAMAZO!

5位.柏木信昭、夏期キャンプ全隊制覇(総13泊)

 1番、たのしかったのはボーイ隊でした。1番、つらかったのはシニアでした。1番、きれいでいられたのがカブでした。1番、不健康なのはローバーでした。

4位.あづまや山カブ隊全員登頂

 本年8月の、あれは6日のことでございます。3度目のアタックで、10年来の悲願であるところのあづまや山登頂に成功しましたのでございます。おどろかないでいただきたいのですが、真夏の暑いさかりに、カブのスカウトが1人のこらず登ったのでございます。これもみな、カブ隊リーダーの日ごろの”おこない”が良かったからでございましょう。

3位.桜井健郎”さとり”を開く

 肩の故障のため入院生活(9/26~10/30)をしていた桜井健郎(カブ隊副長、20歳、歩く不機嫌)は、他に何もすることがなく、さとりを開く。人々が不安を感じて、何をどの様に悟ったかを尋ねても、彼はただ「いやあ、もう開いちゃって、開いちゃって」をくりかえすばかり。いまだに開きっぱなしである。

2位.中谷氏結婚、森泰士婚約

 8月に行なわれたローバーキャンプの第3夜、吉田隊長御夫妻の御結納により、中谷カブ隊長の御結婚式が荘厳にかつ軽薄に取り行なわれました。カブ隊指導者達は「連絡がとりやすくなる」と大喜びして祝福の拍手を送っておりました。又、弱冠二十歳のボーイ隊副長森君が婚約し、ペンション経営にも一層熱がはいっています。

-----とゆうことで、いよいよ第1位の発表です。

1位.ARA創刊

 12月17日、唐突に「ARA」なる機関誌をローバー隊が発行してしまう。

-----いやあ、まさかと思ったでしょう?やはり1位となると、こうならざるを得ないわけです。


論説・スカウト指導者不在のスカウティングについて


桜井健郎

 今回アラ誌創刊に当り、現在我々ローバー隊員にとって最も重要であり、最大の活動である指導者としての任務について述べたいと思う。

 我団には口を開けば、ウチの団は素晴らしいだの、ウチほどしっかりした団はないだの言う指導者が少なからずいる。確かに我団は優れているが、果して現在、手放しして喜んでいられる状態であろうか。私にはそうは思えない。我団は今重要な問題を抱え、その中には我々の活動が、スカウティングではなくなる危険性をも含んでいると思われるからである。

 私が問題にしたい事は多々あるが、ここではスカウティングは個人教育であるという点から述べていきたい。我団は我々ローバーによって各隊が運営されている。主に大学生の指導者によって運営されているのであって、社会人の指導者、特に隊長達は監督しているに過ぎない。そして監督している対象はローバーであってスカウトではない。では誰がスカウトを指導しているのか?ローバーか?いやちがう、彼らは(我々は)隊を運営しているだけなのである。実はスカウトを指導している者などいないのである。指導者がその関わるスカウト一人一人の事を知り、性格、ニーズ等を知り、適切な指導ができる指導者が何人いるだろうか?ローバーには隊の運営で手一杯で、数十人ものスカウトについてそのようなことはできないであろうし、隊長は実際にスカウトを見ていないのだからできようハズもない。結局行っていることは団体教育であって個人教育ではない。ここにはスカウトは存在せず、あるのは隊だけである。

 一方スカウトも指導者を一人一人の人間として見ていないだろう。指導者はその内部において役務を明確に分担し、それ以外の仕事にはタッチしない。スカウトに対しても全面的にスカウトと共にいる者は少なく、多くの指導者にとってスカウトとの接触はあまりない。場合によってはお話だけの指導者もいるわけだが、スカウトを知らない者が話をしても(スカウトも彼を知らない)、一体何の効果があろうか。このような指導者達は、スカウト達には魅力ある人間ではなく、機械にしか見えないのではないだろうか。

 このようにスカウトは存在せず、指導者もまた存在しないのなら、そこで行われているものは一体何であろうか。私には、それはB-Pの考えた思想とはひどくかけはなれた物に思える。今我団の問題の一つはこの点であり、この問題を解決するには、我々ローバーを含めた全指導者が、この現状を見つめ、あるべき姿を探る必要があろう。私はその第一歩として、B-Pとその他スカウティングの教科書にあたり、それらのエッセンスを吸収することであると思う。


The Rover Song(肉体疲労時のビタミンB1補給に)

 灰色の街は低く棚引き、姿の無い労務者がプロペラの音を響かせて行く。
 塵にまみれた落葉、淀んだ人ごみ。
 少年は、乾いたコンクリートに手の平を押しあて、優しく微笑む。
 お姉さん、ぼく来たんです。ぼく来たんです。

---と、いうことでローバーソング。今年2曲の歌がローバーソングとして公式に認定されましたので、ここで紹介したいと思います。2曲とも実に味のある良い歌です。

 一曲目が『不機嫌の歌』。ゆっくりと重厚に~「ズンガリガリガリズンガリガーリ ズンガリガリガリズンガリガーリ ボーイスカウトの本質は何か ボーイスカウトの本質は不機嫌 ズンガリガリガリズンガリガーリ ズンガリガリガリズンガリガーリ・・・」これはカマドの前のスカウトが、煙に顔をしかめながらうたう歌です。飯炊きは、いつになっても不愉快な作業なのです。

 二曲目は『酒スカウトの歌』。明るく朗らかに~「酒スカウトだ 酒スカウトだ ぼくたちは まじめにしっかり飲みます 酒スカウトだ 酒スカウトだ ぼくたちは ローバー隊のさだめを守ります・・・」酒の席の歌です。前唱(?)に「ドンチャン ドンチャン」が4回入り、半数は最後まで「ドンチャン」をくりかえします。とても幸せな気分になります。

 原曲は『不機嫌の歌』が『ズンガリ』、『酒スカウトの歌』が「カブスカウトだ カブスカウトだ ぼーくたーちはー まじめにしーっかりやーりますー」のあの歌です。

◎ RS以外のスカウトがローバーソングを歌うことは、硬く禁じられております。


[シネマ評論]「ネバー・セイ・アゲイン」

柏木信昭

 この映画は実におもしろい。やはり、ボンドはショーン・コネリーしかいない。なぜならロジャー・ムーアには殺気がない。やはりボンドは何人も人を非情にも殺していくわけだから、ロジャーの単なるスケベ顔は合わない。ボンドシリーズのおもしろさは何かというと(これは随分語られてきたが)スリルと美女とアクションである。しかし、私はあえて付け加えたいことがある。それは、どんなに超人的であってもボンドの人間的な面がでてることだ。やはり、主役の魅力がどんな時代でも受け入れられるものがあるというのが、このシリーズが長続きしている由縁であろう。しかし、私には実におもしろくないところもある。なぜなら、このシリーズはいつも映画の売れる最大公約数をきちんと満たしていて、実験的で新鮮さがどうも感じられない。確かに客の入らないボンドシリーズなど馬鹿馬鹿しい気もするが、個人的に「危なげ」精神と私としては納得できない。もし「ムーン・レイカー」などがある意味において実験的だとしたらそれは失敗だったと言えよう。しかし何にしてもこのシリーズが受け続けて、しかも年間の売り上げのトップクラスに入るということは、お客さんが映画に求めてるものは、こんなものなのだろう。しかし、私自身、見た後やっぱりこの映画に満足してしまったのである。


カブ隊年間報告


カブ隊副長補 大石 誠

 雑誌「アラ」の創刊に当たってカブ隊についての記事の場所をもらえたことは、この上もなく名誉な事と感激しておるしだいでございます。

 さて、今年一年のカブ隊の活動は迅速、機敏、しかも内容はバラエティに富んだものでございました。いくつかの例を挙げてみますと、春の舎営では「ぼくら地球防衛軍」というテーマでスカウトたちの地球防衛軍と悪ものバイダースとの闘いを描いたものであった。宇宙という無限なものを対象としたこのテーマは、スカウトに想像力、さらには男らしい雄大な”心”をも与えたすばらしいものでした。また高根隊長による星の観測では、子供たちだけではなくわれわれ大人たちもがあらためて宇宙という限りなき世界に感嘆した。5月には新聞記者というテーマで、春の舎営の出来事を各組新聞にして、同じボーイスカウト東京杉並五団カブ隊に読んでもらった。多摩川で炊事ハイキングを行いながらのこの杉並五団との交流はなんとボーイスカウトのすばらしさを教えてくれただろう。

 夏の舎営は「山に帰ろう菅平原人」というテーマで原始時代にさかのぼって原始人に近い生活を送った。春の舎営が地球防衛軍というSF的なもので夏の舎営が原始時代、なんとすばらしい組み合わせではないだろうか。さてこの舎営のハイライトはなんといってもドロチビルと呼ばれた泥んこ合戦である。スカウト全員があのすばらしい菅平高原を舞台に泥だらけになって死闘を繰り返した。その時のスカウト達の表現は、これがあの都会の子供たちかと思わせる様なすばらしく生き生きとした表情であった。敵陣内に組一体となってむかって行くその姿は、見ている大人たちをも興奮させた。2時間の死闘のあとのスカウトたちは、なかには泣きながら出てくるスカウト、泥だらけで判別のつかないスカウト、最後まで死守した自分たちの組の宝物をもって出てくるスカウト、皆様々な表情をしていたが、満足感にあふれている顔ばかりだった。そして敵として牙をむき出していたスカウト同志が握手をしてお互いの健闘をたたえあっている光景は、あらためて我ら大人にかけがちな”本当の友情”というものを知らされた様な気がした。

 9、10月は「F1グランプリ83」というテーマで各組とも車を工作した。なかにはデンマザーやデンダッドの特別参加もあり、その奮戦ぶりをスカウトたちも見せられ、父母に対しても、また別な形で見なおしたスカウトも多いのではないかと思った。車の工作は最終目的であるチームワークという言葉がよく合ったプログラムだったと思う。11、12月は「ミュージカルミュージカル」というテーマで劇をした。2カ月かけて作ったこの劇は、内容は言うまでもなく、大道具小道具までもがすばらしく出来上がっており、チームワークのよさがよく出ていた。ミュージカルの発表会は来年の新入隊員や父母の前で堂々とその成果を披露して大喝采をあびた。多勢の前で話したり劇をするというものは勇気がいるものだが、それをやりとげたスカウト諸君はすばらしく成長したものだと我々リーダーは思った。また12月でくまスカウトがボーイ隊に上進したが、それにふさわしいプログラムだったと思う。

 83年度プログラムはすばらしく精巧であった。しかし反省点もまだまだある。来年はこのプログラムよりも一歩でも二歩でも精進していきたいと思っている。


ボーイ隊活動報告


ボーイ隊副長 松本康夫

 今年の活動の報告を書かせていただくことになりましたので簡潔にまとめていきます。
今年の年間テーマは”挑戦”ということで、あらゆることに正面からとりくんでいく姿勢を養っていってもらう、ということにしました。
1月はコンサートということで各班で合奏を発表しました。リーダーももちろん発表しました。場所は菅刈住区センターの地下ホールでした。
2月は都内ハイクで、明治神宮→絵画館→イグナチオ教会→武道館→皇居前→国会議事堂前 というコースをとりました。池におちたリーダー、スカウトがいました。
3月のキャンプは河口湖で行いました。2日目に雪がふり、たいへんさむかったです。
4月のグリンバーキャンプは天候に恵まれ、サバイバルキャンプをたのしむことができました。
5月~6月は夏のキャンプの下見にいろんなところをまわりました。やっと富士見にきめることができました。
7月下旬より8月上旬にかけて隊キャンプを行いました。天候にとてもめぐまれ、キャンプらしいキャンプがすごせました。

 9月以降にいえることは出席者が非常にすくなくなってしまったことです。リーダーの今年の失敗の一つだと思います。
9月は三浦半島にハイキングにいきました。洞くつを探検したりしました。
10月は地味に地図づくりや史蹟めぐりを行い発表会をしました。またこの月の隊集会では月の輪組のみんなと教会の掃除を行いました。
11月は大きな行事はほとんどなく、12月11日の炊事ハイクで今年の活動はほぼおわりました。

 今年は後半のほうが人数(出席者も指導者)がへりぎみでした。今後の活動に期待しています。また、機会あるごとにボーイ隊活動に奉仕してくださったローバー諸君、本当にありがとう。


我今思ふ


シニア隊副長 小池きよし

 この文章は私が誰かに何かを訴えたくて書いたものではありません。唯私が普段考えていることをつれづれなるままに文字にしただけで御座居ます。これを御読みになって何か御意見が御座居ましたら是非御聞かせ願いたいと存じます。それではそろそろ本題に参りましょう。

 ”シニア隊では好きなことをやって良い”とスカウトに言うと、特徴的な2通りの型のスカウトが現れます。一つは、何をやって良いのかわからないスカウト、もう一つは、(好きなことをやって良い)=(嫌いなことはやらなくて良い)という等式ができてしまうスカウトであります。どちらもシニアスカウトとしては困るのですが、ある意味において指導者としましては後者の方が頼もしく思います。と申しますのは、現在実に前者のスカウトが多いからであります。与えられたことはそつなくこなせても自分のやりたいことがわからないので御座居ます。私は非常に歯痒い思いで御座居ます。これは現代中高生の気質である、という方が居られますが、そんな一言で片付けてしまって良い問題だとは私は思いません。

 さて、先に私は後者の方が頼もしい、と書きましたが、それは”やる気”という面から見た両者の比較からこう申したのでありまして、後者も大変な問題を持って居ります。この等式が成立すると思うのは、甚だしい勘違いであります。ここで、次の様な名言が御座居ます。「多少の勘違いは、その唐突さで許される。」しかし、この等式は多少の勘違いでは御座居ませんし、唐突さもありません。「甚だしい勘違いは諸悪の根源」なのであります。けれども、この等式が成立しているスカウトだけを責める訳にはいきません。大戦後、全ての日本人が”自由”という言葉と前述の等式を多かれ少なかれ誤解してはいないでしょうか。”自由”と”我儘”はまるで次元が違います。一つ好きなことをやろうと思えば、その何倍、或いはその何十倍もの嫌なことをやらなければなりません。私自身、以上の点において、勿論完璧では御座居ません。しかし、私は前述の等式が成立しないということを知って居ります。このことを知っているかいないかが大きな違いだと思います。この等式は成立しないということを知って欲しい、そして、最初に書きました様に、自分のやりたい事が何であるのかを見つけて欲しい、この2点が現在の渋谷第5団シニア隊のスカウトに対する私の望みで御座居ます。

 問題点は他にも数多く御座居ます。しかし、差し当たってこの2点は、早い時期にスカウト達と共に話し合い、解決したいと思って居り、私自身、一層の努力をしていくつもりで御座居ます。


”ARA”創刊にあたって


ローバー隊長 吉田 茂

 ローバーとは遍路者すなわち旅人のことである。未知の人生行路を力一杯歩みつづけている旅人のことである。

 昨年、私がローバー隊長を拝命して以来、この若き旅人達が月に一回は私の家に大勢集まってきて、時にはなごやかに、また時にはけんか腰で議論をしてゆきます。私はそれらの議論に極力口をはさまないで、ただ注意深く聴いていることが無上の楽しみであり、またそれが最善のことだと思っています。なぜならば、諸君は将来に無限の可能性を秘めた若者達であり、またカブ、ボーイ、シニアの各隊を通して修練を重ねて来て今や”自発活動”を100%発揮すべき隊に到達しているからです。たまにはARAおかしいな?と思うこともないではありませんが、私の古びた既成概念で、もっと素晴らしい結論に達するかもしれない可能性の芽をつんでしまうことは避けたい。実行に移して、たとえ失敗してもよいから、何事にもあまり考えすぎて立ち止まらないで、どんどん歩きつづけて欲しいと念願しています。

 今回、ローバー隊の機関誌として”ARA”を創刊することになったのも、諸君の議論の中から生まれて来ました。日頃、後輩隊への奉仕で多忙を極めている諸君が、ローバー活動をさらに充実してゆくには何をなすべきかを考え、創刊に至ったことは、大変価値のあることだと思います。実施はむずかしいという意見もあったようですが、とにかく実行に移すことに意義があり、また長く続けてゆくことに意義があります。そのためにも、あまり力まず、形式にとらわれない方がよいと考えます。各隊の現状報告もよし、随筆もよし、論評もよし、月刊でもよし、不定期でもよし、自由奔放に、そしてたゆまず書き続けてくれることを願っています。

 諸君がローバー活動について考え、また議論をする場合に忘れてはならないことは、創始者ベーデン・パウエルが云われた言葉です。

  ”Rover scouting is a brotherhood
   of the open air and service”

 これを意訳すると”ローバースカウティングとは、戸外活動と奉仕活動をする兄弟仲間のことである”となりますが、ここで特に注目して欲しいのは”兄弟仲間”についてです。ローバー隊だから”自発活動”が尊ばれるには違いないのですが、この意味をとり違えると、とかく”自分は自分、人は人”となりがちで、その結果、仲間兄弟を、意見の合う少数に限定してしまっているかも知れません。意見の合わない人の意見ほど貴重であり、また広く団外の仲間の意見、考え方を聞くことも大切です。

 この”ARA”が団の内外を問わず、多くの方々に読んでいただき、諸君の兄弟仲間の輪が広がってゆくことを心から念願しております。どうか、関係者の皆様の御理解と御鞭撻を切にお願い申し上げます。


何故我々は不機嫌するのか!?(1.悪口)


何かの都合で集会に出られなかったとする。そうすると、(ああ、みんな今ごろ俺の悪口を言って笑っているだろうな)と考える。この考えは変であろうか?これまでにローバー隊員が集まって、その場にいない人の悪口を言いあわなかった事が1度でもあったか?---否である。あいつは馬鹿だの、嫌なやつだのと、ふだんニコニコとつきあっている人間の陰口をたたく。あるいは喜劇の主人公にしたて上げて、笑いものにする。この様なことの絶えた事はない。

 しかし、彼らが昔その人物を嫌っていて、仕事の関係上しかたなくつきあっているのかというとそうでもない。中にはその様な人もいるかもしれないが、ほとんどが冗談半分である。半分ということは、全く根も葉もない事を言うのてせはなく、その人の側にも陰口をたたかれる要素がある訳で、それを鋭く捕らえて発表するところに、少なからぬ快感があるのではないだろうか。それ故、総合的には尊敬している人物の悪口を言ったりするのである。

 陰口をたたかれるのは仕方のないことである。だれでもその種を持っている。とはいえ、やはり不愉快である。コレコレコーイウワケナンダカラナントモオモワナイヨ、などと言えるほど私は嘘つきではない。怒りたいが怒るわけにもいかない。

 ゆえに私は不機嫌だ。


Q&Aはそれ自体で美しい

ARAとはどういう意味ですか。

意味はございません。「アラッ」というのは吉田隊長の口ぐせで、最近CMの流れている”ARAのネクタイ”とは何の関係もないのです。

何故こんなものを発行したりするのですか。

人の行為すべてに目的があったとしても、その目的を正確につきとめることは不可能であります。と、個人的な行為ならばそれで済みますが、それが他人に向けられたものであると世間は許してくれません。ことに機関誌の発行などという創造的共合事業となると、対象範囲内すべての人々の利害を考慮に入れた社会的な目的が必要となるのです。そこで我々は「頓挫した団報の発行目的を引きつぎ、団内のコミュニケーションを活性化することにより、現在ある諸問題の解決を助ける」ことを目的とすることに決定いたしました。何を長々と書いているかというと、ことのはじまりは全員の「発行したい!!」という意志であったことを言いたかった訳です。

スタッフはどうなっているのですか。

現在のところ次の通りです。
責任者:吉田 茂    CS担当:大石 誠
編集長:本尾敏也    BS担当:柏木信昭
印刷係:桜井健郎    SS担当:小池 潔
会計係:松本康夫    RS担当:本尾敏也
地区担当:吉田 茂   団委員、教会担当:黒田一敬


編集後記

  • この編集後記は12月15日に書いている。16日に印刷、17日に製本発行の予定である。編集委員一同、火のたまとなって働いている。なまけている者など1人もいない。(モトヲ)
  • この字はぼくの字です。誰のものでもない限りなく私です。(シカ)
  • 一日童軍、一世童軍。天涯若比隣、四海皆兄弟。(?)
  • 12月18日は選挙の日ですが、政権担当能力がないからこそ社会党に投票いたしましょう。(タケ)
  • 万歳!!(オーイシ)
  • 窓際はあったかいです。日あたりがいいから。(H.M)

PAGETOP
Copyright © ボーイスカウト東京連盟渋谷第5団 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.